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ロジャーズの来談者中心療法とは!?|その技法と長所,短所について解説vol.2

   

さて,今回は「来談者中心療法」についてのお話です。

ロジャーズ(Rogers, C.)の実現傾向(actualizing tendency)とはどのようなものでしょうか。

ロジャーズ(Rogers, C.)の実現傾向(actualizing tendency)とはどのようなものでしょうか。

前回,ロジャーズ(Rogers, C.)の提唱した来談者中心療法について,自己一致(congruence)と,非指示的であるということについてお話しました。

ロジャーズの来談者中心療法とは!?|その技法と長所,短所について解説vol.1

今回は,実現傾向ということと,そしてセラピストの基本的態度の三原則についてお話していきたいと思います。

 

実現傾向(actualizing tendency)とは!?

実現傾向とは,ロジャーズが仮定したものです。

人間に本来的に備わっている唯一の動因であると考えられています。

ロジャーズは,人間は基本的に積極的・前進的で適切な条件が与えられれば,潜在的な可能性を最大限に発揮させようとするとしました。

そして、この自身の可能性を最大限発揮させようとする傾向のことを実現傾向(actualizing tendency)と呼びます。

つまり,周りの環境がその人にとって適切なものであれば,いろいろな可能性をのびのびと健康的に発揮できるというのです。

ロジャーズは,人間に実現傾向があるので,セラピストが安定(自己一致)した状態でクライエントに接することができれば,クライエントは自然と実現傾向にしたがって問題を解決できるようになると考えたと言えるでしょう。

 

セラピストの基本的態度の三原則とは!?

しかし,ただ単に安定(自己一致)したセラピストがクライエントに会うことだけで,問題が解決されていくわけではありません。

ロジャーズは,クライエントが変容し問題が解決されるためにはさらに条件があるとしました。

中でも,セラピスト側の基本的態度として3つの原則を提示しています。

  • 自己一致(congruence)
  • 無条件の肯定的関心(unconditoinal positive regard)
  • 共感的理解(empathic understanding)

この3つの内,自己一致については前回お話しました。

では,残りの2つの原則について見ていくことにしましょう。

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無条件の肯定的関心(unconditional positive regard)とは!?

無条件の肯定的関心とは,受容(acceptance)とも呼ばれます。

クライエントの感情や行動に対して,特定のものだけを肯定するのではなく,クライエントを価値ある存在として,人間対人間の形で関わることを言います。

共感的理解(empathic understanding)とは!?

共感的理解とは,クライエントの経験をあたかも自分のものであるかのように感じ取ろうとすることを言います。

そこでは,クライエントの主観的世界に入り込みます。

感覚・知覚・意味・記憶,またそれらに付着する情動的要素などのすべての経験を含み込んで,クライエントの経験を感じ取ろうとするのです。

ここでは,「あたかも」という性質を維持することが重要であるとされています。

 

来談者中心療法はなぜ広まったのか!?その長所と短所は!?

ロジャーズの提唱した来談者中心療法は,セラピストの基本的態度の3原則が非常に有名となっています。

ロジャーズは,この原則を守ることができればどんなクライエントでも対応することが可能であるとしています。

しかし,同時にこの基本的態度を守ることは非常に困難なことでもあるのです。

このことは,これらが心理療法の本質的な部分であるということも示しているでしょう。

そして,来談者中心療法の主張は,現在では他の学派・理論においても当然のこととして受け入れられるようになりました。

来談者中心療法が広まった背景にはこうした本質的な部分をついていたということも関係しており,これは来談者中心療法の長所であると言えるでしょう。

そして、クライエントの「力」を信じて一緒に問題を抱えていくという姿勢も長所であると言えます。

しかし,一方でよく批判されているように,セラピー自体はクライエント自身は変容するのを待つことになりますので,非指示的・消極的なものと見られることもあり,短期間での結果が見えにくいという点でも短所とされるかもしれませんね。

 

まとめ

ここまで「来談者中心療法」について,実現傾向とセラピストの基本的態度の三原則についてお話してきました。

来談者中心療法は,心理療法の本質的な部分を捉えたものであるので,他の学派や技法にも浸透していったということになります。

その応答技法については,またお話できればと思います。

 - 人間性心理学

        

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