PsychJapan -心理についての面白くて深い話-

PsychJapanでは,心理に関係する面白くて深い話を,いろいろと取り上げて紹介していきます。

*

ピアジェが提唱した発達の理論とは!?|各段階の特徴をまとめて解説vol.3

   

さて,今回は「ピアジェの発達理論」についてのお話です。

感覚-運動期に成立するものとしてどのようなものがあるのでしょうか。

感覚-運動期に成立するものとしてどのようなものがあるのでしょうか。

前回までも,発達的認識論についてお話してきました。

ピアジェが提唱した発達の理論とは!?|各段階の特徴をまとめて解説vol.1
ピアジェが提唱した発達の理論とは!?|各段階の特徴をまとめて解説vol.2

今回も,前回お話した「感覚-運動期」について,もう少しお話していきたいと思います。

前回は,感覚-運動期に6つの段階があることをお話してきました。

その中で「循環反応」という繰り返しの反応を中心として外界と関わっていくことをお話しました。

外界との関わりの中で,獲得されていくものがあります。

その中でも「対象の永続性(object permanence)」と呼ばれるものを取り上げてお話していきたいと思います。

 

対象の永続性(object permanence)とは!?

対象の永続性(object permanence)とは,視界から消えた対象が存在し続けていると認識する能力のことを言います。

たとえば,目の前にぬいぐるみがあるとしましょう。

この時,ぬいぐるみは見えている(視界にある)ので,存在していることを認識しています。

ここに,ぬいぐるみに布をかぶせたとします。

あなたは布によってぬいぐるみが見えない(視界から消えた)状態でも,そこにぬいぐるみがあることはわかるでしょう。

これは,あなたに「対象の永続性」が成立していることを示しています。

しかし,これが成立する以前の赤ちゃんは,ぬいぐるみが布に隠れてしまうと存在しなくなったと認識するとされているのです。

 

対象の永続性はいつ成立するの!?

対象の永続性に関しては,ピアジェが実験によって成立時期を調査しています。その実験は以下の通りです。

  • まず,赤ちゃんにぬいぐるみを見せておきます。
  • そこに布をかぶせて赤ちゃんの異界からぬいぐるみを消します。
  • そして,赤ちゃんが布をとってぬいぐるみを見つけることができるかどうかを観察します。

ピアジェは,布をとってぬいぐるみを見つけることが,対象の永続性が成立していることを意味していると考えたのです。

これの可否によって,対象の永続性が成立する時期はいつなのかを調査しました。

その結果,8ヶ月頃から成立することが明らかにされています。

スポンサードリンク

しかし,このピアジェの実験には,大きな落とし穴がありました。

確かに,布をかぶせられたぬいぐるみを探して,布を取り除くことには,対象の永続性が不可欠であります。

ところが,目に見えないものが存在しているという認識と,対象に手を伸ばすという行為は別物であることが言われるようになりました。

手を伸ばすという行為を取り除くと,もう少し早い時期に対象の永続性自体は成立しているのではないかと考えられるようになりました。

これについては,ベイラージョン(Baillargeon, R.)という人物が調査しました。

ベイラージョンは,対象に対する注視時間の回復度合いから対象を識別しているかを判定する馴化・脱馴化法という手順を用いて,実験を行いました。

その結果,3~4ヶ月頃にすでに存在していることが明らかにされたのです。

 

対象の永続性は何に役立つの!?

対象の永続性は,表象能力(representation)の原始的形態となるとされています。

表象能力とは,1歳~1歳半頃に獲得されるものです。

これによって,目の前にない対象や出来事,行為などをある程度意図的に構成,操作,変換することが可能となります。

つまり,何かの対象や出来事,行為をイメージとして思い出したり,それを参考にして行動したりすることが可能となるのです。

これは,人間の生活にとって非常に重要なものであるとされています。

 

まとめ

ここまで「ピアジェの発達理論」について,感覚-運動期に獲得される,対象の永続性(object permanence),そして表象機能(representation)についてお話してきました。

これらの機能は,次の発達段階としての前操作期における「象徴機能(symbolic function)」の基礎となるものです。

これは何かを何かで例えたりする能力につながるので,外界の認識だけではなく,コミュニケーションなどの人間関係にも影響を与えるものと考えることができるかもしれませんね、

そして,これはその後の認知発達においても非常に重要なものとなるのです。

こうしたことについても,またお話できればと思います。

 - 発達心理

        

Google Adsense

Google Adsense

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

ピアジェ(Piaget, J.)とヴィゴツキー(Vygotsky, L. S.)の言語発達の考え方はどのようなものなのでしょうか。
ピアジェとヴィゴツキーで違う!?|内言と外言,自己中心的言語とは

さて,今回は「言語発達」についてのお話です。 あなたは日々の生活たくさんのことば …

ピアジェ(Piaget, J.)の提唱した感覚-運動期とはどのようなものでしょうか。
ピアジェが提唱した発達の理論とは!?|各段階の特徴をまとめて解説vol.2

さて,今回は「ピアジェの発達理論」についてのお話です。 このピアジェ(Piage …

ヴィゴツキーの「最近接領域」の考え方はとても重要なものです。
教育の本質はここにあり!?|ヴィゴツキーの最近接領域の意味とは

さて,今回は「発達の最近接領域」についてのお話です。 「発達の最近接領域」とは, …

ボウルビィの提唱した「愛着」とはどのようなものでしょうか。
ボウルビィの提唱した愛着理論とは!?|形成過程や障害についても解説vol.1

さて,今回は「愛着」についてのお話です。 愛着という概念は,人間にとってとても大 …

ピアジェの自己中心性とはどのような考えなのでしょうか。
子どもは人の気持ちがわからない!?|ピアジェの自己中心性の特徴とは

さて,今回は「ピアジェの自己中心性」についてのお話です。 これまで,ピアジェの発 …

「愛着」の発達段階とその障害にはどのようなものがあるのでしょうか。
ボウルビィの提唱した愛着理論とは!?|形成過程や障害についても解説vol.2

さて,今回は「愛着」についてです。 前回は「愛着」について,それがどういったもの …

ピアジェ(Piaget, J.)の功績は心理学,特に認知発達の分野において大きな影響を与えています。
ピアジェが提唱した発達の理論とは!?|各段階の特徴をまとめて解説vol.1

さて,今回は「ピアジェの発達理論」についてです。 ピアジェ(Piaget, J. …

愛着に影響を与える要因は子どもにも養育者にもあります。
ボウルビィの提唱した愛着理論とは!?|形成過程や障害についても解説vol.3

さて,今回は「愛着」についてもお話です。 前回までも,愛着について,内的作業モデ …

ピアジェ(Piaget, J.)の提唱した具体的操作期とはどのようなものでしょうか。
ピアジェが提唱した発達の理論とは!?|各段階の特徴をまとめて解説vol.5

さて,今回は「ピアジェの発達理論」についてのお話です。 これまで,ピアジェ(Pi …

子どもの発達はのびのびとしていてほしいものですね。
肯定が子どもの発達には悪影響!?|子どもを最もダメにする3つのこととは

さて,今回は「子どもの発達」についてのお話です。   私たちの生活に影 …